9月の主要ニュース概要
 
国際シンポジウム「水のグローバルガバナンス−人間安全保障の視点から」
 「深刻化する水問題に対する新しい動き−国連の取り組みと『Blue Revolution・青の革命(仮称)』−」国連大学において講演橋本龍太郎 GLOBE Japan会長、国連水と衛生に関する諮問委員会議長基調講演 9月8日(水)
 
ハンス・ファンヒンケル国連大学学長と
基調講演中
 

 9月8日東京都渋谷区の国連大学において、GLOBE Japan共催の国際シンポジウム「水のグローバルガバナンス−人間安全保障の視点から」を開催いたしました。チグリス・ユーフラテス川流域の水資源保全などをテーマとし同流域国のイラク、シリアを始めとする各国の専門家を交え、多角的に検討・議論が行われました。GLOBE Japanからは橋本龍太郎が基調講演を行い、その後のパネルディスカッションにおいて、加藤修一副事務総長兼環境副大臣(当時)、福本潤一農林水産大臣政務官(当時)が参加いたしました。また、約200名の一般参加者とともに広中和歌子・小杉隆両副会長、谷津義男事務総長、清水嘉与子元環境庁長官もオブザーバーとして駆けつけ、この会議に対する注目の高さが伺えました。

基調講演内容はWhat’s New の「水のグローバルガバナンス-人間の安全保障の視点-」をご覧下さい。

 

キリエンコ・ロシアボルガ連邦区大統領代表来所 
  9月9日(木)

 
 
 
カノ・コロンビア農業地域開発相と懇談
  サバンナを熱帯雨林に復元へ
  「メガ・プロジェクト・ガオビタス II」事業について
  9月15日(水)
 
カノ大臣・橋本・小杉・広中各議員
懇談風景
 

 GLOBE Japan会長の橋本龍太郎は9月15日、来日したカノ・コロンビア農業地域開発相と東京・永田町の参議院議員会館で懇談した。席上、同相は、コロンビア東部・ビチャダ州の大平原を森林化し、熱帯雨林を復元する国家事業「メガ・プロジェクト・ガオビタス II」プロジェクトについて説明。二酸化炭素(CO2)の排出削減効果などをテーマに活発な意見交換を行った。
 
当日は、小杉隆・広中和歌子副会長、若林秀樹副事務総長ら10人のGLOBE Japanメンバーが参加。このなかで、カノ大臣はメガ・プロジェクト・ガオビタスIIについて、同国のNPO(民間非営利団体)、ラス・ガビオタスが8000haの松、ヤシ、ゴムを中心に多様な熱帯雨林を復元し、共生する菌根菌によってサバンナを森林化させることが可能であることを立証した、と語った。今後、創出する森林面積は630万ha(日本国土の6分の1)まで拡大する計画だ。同プロジェクトは、CO2の削減をはじめ、工業原料になる樹脂の採取やヤシ油を原料にしたバイオディーゼルの実用化、飲料水の供給、生物多様性の再生、雇用の創出といった、地球温暖化対策と、地域興しに活かされる。
 現在、パイロット事業的に進めている同プロジェクトには、1994年に日本政府がODA(途上国開発援助)として200万米ドルを出資した実績がある。京都議定書の発効が迫るなか、CDM(クリーン開発メカニズム)の活用によるプロジェクトが本格的に計画されている。コロンビア政府は、GLOBE Japanとビチャダ地方の発展を持続的に発展させる新生ビジョンを共有したいとの意向を示したが、GLOBE Japanとしては、日本のCO2削減義務達成に役立つ可能性があることから、同プロジェクトに対し、日本政府によるコロンビア政府へのさらなる追加的資金協力について、十分検討する必要があると考える。

 
 
UNEP特別賞受賞
 
 9月27日北京市内のState Guest House(釣魚台国賓館) にて開催されたUNEP(国連環境計画)笹川環境賞20周年記念式典において橋本はこれまでの環境分野における功績を認められUNEP特別賞を受賞した。
 受賞理由としてUNEP(主催者側)は橋本の30年以上にわたる環境保全への貢献をあげた。
 
UNEPトッファー事務局長より特別賞を贈呈
受賞を受けて挨拶をする橋本
 
 橋本は厚生政務次官当時の1971年、環境庁発足や臨時国会への環境汚染防止法案の提出に尽力。総理時代には「都市における環境と開発のモデル作り」、「環境問題を取り扱うネットワークの拡大」という2つの重要な方針に基づき、日中両国における環境協力について中国側に支持を得る事に成功した。

 近年では地球環境問題に対する立法者間の国際協力を構築するため、1989年に設立された国際的な議員連盟GLOBE (地球環境国際議員連盟)Japan会長や昨年大阪・京都・滋賀で開催された「第3回世界水フォーラム運営委員会会長」そして本年3月22日の国連水の日に「国連水と衛生に関する諮問委員会議長」就任など、環境分野での幅広い活動をしている。

 受賞後、橋本は会場にて約10分間の挨拶をした。(挨拶文はwhat's new参照)冒頭この様な賞を頂き、大変光栄に思っていると同時に自分の環境に対する姿勢の方向性が間違いではなかったとの評価に安堵していると述べた。また来年3月に行われる愛知万博に関し「会場の自然を活かし開発を必要最小限に抑え、今ある自然との共存に成功した。戦後日本の再出発の成功例である」と強調した。
 
 
中華人民共和国 曾培炎(ソ・バイエン)国務院副総理と会談
 
 9月26日に訪中した橋本は翌日の27日、曾培炎(ソ・バイエン)国務院副総理ならびにUNEP(国連環境計画)トッファー事務局長と会談をした。
 
曾培炎(ソ・バイエン)国務院副総理
UNEPトッファー事務局長・曾培炎副総理
 
唐家セン国務委員との会談
 
9月26日に訪中した橋本は翌日の27日、唐家セン国務委員と釣魚台国賓館にて会談をした。
 
唐国務委員と
唐国務委員と
 
 冒頭、唐国務委員よりこの度のUNEP笹川特別賞受賞にあたり、これまでの功績を称えるものであり今後も環境分野を含めたあらゆる面での活躍を期待している旨の発言があった。
 また会談中、橋本より自身が議長を努める「水と衛生に関する諮問委員会」について話があり今現在、中国やインド等、国際河川問題を抱えている国々が諮問委員会のメンバーに入っていない現状を説明。これを受け唐国務委員より中国政府適任者の諮問委員会入りの希望があり、人選について早期の対応を図る旨で双方合意をした。
 (越境水問題について日本は知識が無く、メンバーの中にはエジプトのアブザイド水資源灌漑大臣以外に関係諸国の適任者がいない)
 
国連笹川環境賞の設置の経緯
 
 UNEPは設立以来、農村および都市の居住地域の生態および環境の保護と開発、砂漠化、酸性雨、種の絶滅、海洋汚濁、大気圏の異変等の諸問題に関するプロジェクトを積極的に展開してきたが、1982年(昭和57年)には第1回国連人間環境会議開催の10周年を記念して、国際的な環境賞の設立を計画した。
 この賞は、環境の保護および向上のために著しい貢献のあった個人または団体を顕彰し、世界中の人々に環境問題の重要性を認識・理解させることを目的としたものであった。
 UNEPからの要請に応じ、日本財団はこの賞を永続させるための基金として昭和57年度に100万ドル(約2億4,000万円)を拠出し、同賞は「国連笹川環境賞」と命名された。
 国連笹川環境賞の受賞者は、環境専門家(7名以内)からなる環境賞審査委員会が選考を行い、UNEP事務局長に対し授賞勧告をし、事務局長がそれを承認して決定されることとなった。
 1984年6月、第1回授賞式がニューヨークの国連本部において開催された。第1回受賞者にはローマクラブ前会長の故アウレリオ・ペッチェイ氏が選ばれ、デクエヤル国連事務総長から未亡人に賞状と賞金が贈られた。
 第1回授賞式以来、同賞の賞金および運営にかかる費用は基金の運用益で賄われてきたが、第5回授賞式を終えた段階で、UNEPは一段と深刻さを増す地球環境問題をふまえ、1990年以降の同賞のあり方について再検討を行った。
 その結果、地球環境の保全と再生のためには、人類全体の共通認識と迅速な対応が求められ、同賞の果たす役割はますます大きくなるとの判断から、同賞の権威をより高める(賞金の増額:従来5万ドルであったものを20万ドルに)とともに、世界中から注目されるより効率的な広報活動を行うべきであるとの合意がなされ、本会に基金増額の要請があった。これに対し、本会としては協力方法は基金の増額ではなく、毎年度の所要額から運用益を差し引いた不足額を拠出することとし、平成元年度から実施している。

日本財団ホームページより