第四回世界水フォーラム
キックオフミーティングを終えて

メキシコ合衆国・メキシコシティにて
 3月20日成田を出発、サンフランシスコ経由、メキシコシティに行きました。主題は第4回世界水フォーラム(ホスト国メキシコ)キックオフミーティングに参加し、第3回世界水フォーラム運営委員会会長として、正式にそのバトンをメキシコに渡すことでした。
 メキシコシティは標高2,300メートル、急に動くと息が切れます。心臓の手術後、あまり高い土地に行っていない私も慣れるまでには半日くらいかかりました。一時期に比べると大気汚染はずいぶん改善しています。先日、日本との間にFTA(自由貿易協定)の基本合意がまとまり、メキシコ側もとても喜んでくれています。その上で、各国との自由貿易協定を多く結んできたメキシコには、もう自由貿易協定は当分の間はこれで打ち止め、という感じが漂っています。来年国会議員選挙を控え、争点はこれ以上つくりたくないということのように感じました。
 フォックス大統領との間も前回のように自由貿易協定が議論の中心になることもなく穏やかな会談になりましたが、第四回世界水フォーラムの事務局に日本から人を出してくれと頼まれました。
 今後最後まで一人送り込むことにしましたが、彼が独身なのでお母様が言葉の通じないお嫁さんを連れてくると困ると心配しておられます。
前ブランコ大臣、アルミダ・サンチェス、ウリベ前駐日大使等ともじっくり話すことが出来ました。大統領以下、中国についての話を非常に聞きたがる感じです。対米輸出競争の強敵と見ていることは間違いないと思います。

 帰途ニューヨークに立ち寄ったところ、イスラエルのミサイルによってハマスの精神的指導者のヤシン師が殺害されたとのニュースで、国連安保理が大荒れしていました。結局、翌朝私たち一行がニューヨークを出発、帰国の途に着くまで安保理の決定は出ませんでした。小泉総理が「お互いに自制を求める」様な談話をTV上で述べられたということが、EUのソラナ代表が明確にイスラエルを非難したという報道と対比され、一人歩きしていました。
 こんな事件に遭遇しなければ、3月22日、国連水の日に合わせてアナン事務総長が国連の中に水のあらゆる問題を解決する手段の一つとして"国連水に関する賢人会議"(水と衛生に関する諮問委員会)を設置し、議長を日本の橋本元総理に委嘱したというニュースが、もう少し皆さんに関心を持っていただけたのではないか?そう思うとちょっとさびしい思いでした。

* 水と衛生に関する諮問委員会の詳細は外交ニュース3月版をご覧下さい。