中国水フォーラム2004年挨拶
北京国際会議センターにて 4月20日


 私は一昨日の18日より日本国際貿易促進協会第31回訪中団の団長としてここ北京を訪れました。その期間中に中華全国青年連合会主催のこのフォーラムが開催されるとお聞きし、第3回世界水フォーラム運営委員会会長として今この場をお借りして一言 御挨拶させて頂いております。
 昨年の三月十六日から二十三日の八日間、我が国、京都、滋賀、大阪を結ぶ琵琶湖・淀川流域で開催された第三回世界水フォーラムには、ここ中国からも閣僚級国際会議への水利省大臣および建設省副大臣の参加のほか、合計125名もの参加を賜りました。会期中米英軍等によるイラクへの軍事行動が開始されたにもかかわらず、183の国・地域から、二万四千人を越える参加者を得て、史上最大規模の国際会議として開催されました。これらの参加者それぞれの中に、八日間を通じて育まれた水問題に対する問題意識が、このフォーラムを含め、今新しい形へと発展していっていることを目の当たりにする事は、第三回世界水フォーラム運営委員会の会長を務めた私にとっても大変大きな喜びであります。
 また「国連水の日」でもあります先月22日、私はメキシコ合衆国大統領府におきましてビンセンテ・フォックス大統領に第3回世界水フォーラムから第4回世界水フォーラムへのバトン(となる瓢箪)を渡して参りました。時を同じくして国連のアナン事務総長より「水と衛生に関する諮問会議」の設立にあたり、私の議長就任の発表がございました。
 私は、これまでの経験が少しでも世界のお役に立てるのであれば、との思いで議長をお引き受けいたしました。本諮問会議は、持続可能な開発を達成する上で中心的な存在となる水問題について、世界的な対応を強化することを目的にしており、水と衛生の問題に対する意識向上、水・衛生プロジェクトの資金調達支援、新たなパートナーシップの促進などを図ることが期待されています。水分野で活躍されている皆さまと一緒になって、出来うる限りの努力をしたいと考えております。

 今現在中国では、黄河、海河流域など北東地域においては、水不足や水質汚濁などの問題が顕著であり、「環境」という観点からその保全策が模索されていると聞いています。その一方で、今後予想される更なる人口増加に対する食糧問題を考えれば、必要な水資源を確保することは、焦眉の急でもあります。中国では三峡ダムの建設、南水北調事業などの大規模事業が進められ、水資源問題が大きく展開されようとしています。

 ここ北京では、天安門広場に隣接する人民大会堂近くの、埋め立てられていた水路のうちの一つ、菖蒲河が再生復元されています。昨年の秋に訪問した折には、単に水路を元に戻しただけでなく、そこにあった町並みを同じように戻し、市民の憩いの場として提供されていることを目にすることができました。私たち日本でも今後このような取組を展開する際には大いに参考にさせていただきたいと感じました。
 この度のフォーラム開催にあたっては、次世代の中国を担う人々が並々ならぬ努力をされたということを伺っています。また、日本からも第3回世界水フォーラムで分科会の一つとして、「ユース世界水フォーラム」を主催した日本の若者たちが中国の若者たちと一緒になって分科会を開催する予定であると聞いています。子どもたちや若者など、世界の将来を担う世代が、命の源である水を自分たちのために、そして更に次の世代へと間違いなく引き継いでいくために、具体的な行動を始めていることも大変嬉しく思っております。
 日中間の幅広い対話と協力が今後一層発展し、正に泰山そして黄河の如く、高き山、大きな河の流れとなっていくことを、心から願っています。

 御静聴有難うございました。