平成16年度GLOBE Japan シンポジュウム
「21世紀の地球環境を考える国会議員と高校生との対話〜地球温暖化と異常気象による水災害〜」
 
平成十七年三月十八日(金) 憲政記念館 


 このシンポジュウム冒頭にお話できる事を光栄に思っております。
本日は阪神淡路大震災後に日本で始めて創設された環境防災科をもつ兵庫県立舞子高校の諸君そして東京都立国際高校の生徒さんを招いて一緒にこのような場を設ける事が出来ました事を大変うれしく思っております。
 私は一九九五年の阪神大震災当時、村山内閣の通産大臣兼副総理として被災地神戸を訪れました。神戸を中心とした被災地では、電気・ガス・水道・下水道そして電話等のライフラインが壊滅的な被害を受けておりました。消火用の水さえも確保できず、火災の延焼を食い止めるのに多大なる困難をきたしました。いずれの施設の復旧も緊急を要した事は言うまでもございませんが、特に被災地への水供給や、水関連施設の復旧は特に優先しなければなりませんでした。
また、本年一月十九日神戸にて開催されました国連防災世界会議におきましても私は「水」に関わる提案をしてまいりました。昨年インドネシアのスマトラ島沖にておこりました大津波による大水害を見ても分かるように、水災害が途上国の発展を妨げていることは明らかです。水に起因する災害は、予見可能な場合が多く、大雨が降って洪水が起こり、地震があって津波が起こります。この様に水に起因する災害は、有効的な予防防災システムがあれば、ある程度の人命の損失を防ぐ事ができ、洪水による死者数を半減できると考えております。この提案は2015年までに半減させる目標として、国連防災会議の成果文章に盛り込み、今後具体策を講じてまいります。

 異常気象による影響に関しましては一昨年の夏のアメリカやヨーロッパでの記録的な猛暑等は皆さまの記憶に新しいところではないでしょうか?フランスでは一万人以上もの死者を出し、他のEU諸国においても千人を超す人々が犠牲になりました。我が国におきましても日本本土への台風上陸回数が過去最多となり、東京では真夏日連続日数の最長記録を更新しました。台風の影響により福井・新潟・兵庫等日本海側でも多数の死者を出しました。この異常気象の原因の一つに地球温暖化の影響があるのではないかと私は心配しております。

 地球温暖化に伴い、南の島嶼国では海面の上昇による影響がすでに出始めております。島唯一の水源でもある地下水脈に海水が混じりこみ深刻な塩害が発生し、更にその勢いが加速する事により住民はやがて島を離れなければならない状況に追い込まれる危険さえあるのです。

 このような状況を少しでも和らげる為に我々は京都議定書発効を世界各国に対してうながしてまいりました。COP3において採択された議定書を発効へこぎつける過程においても様々な問題が生じましたが、関係諸国・関係者の尽力によって何とか発効にこぎつけることが出来ました。しかし今後の課題も山積しております。COP3当時、前回のアメリカ大統領選に立候補しておりました当時のGLOBEメンバーであるケリー候補やアル・ゴア氏そして何よりもクリントン大統領がいなければまとまりませんでした。それだけに今のアメリカの状況は残念でなりません。
 アジアに対して目を向けてみても途上国であると言う理由で排出量第2位の中国や第5位のインド等、が含まれておりません。我々GLOBE Japanとしては本年イギリスで行われますG8サミットを目標に中国・インドを巻き込み、今後の環境問題に対し共同で取り組んでいく為のパートナーシップの強化を図り、サミットに向けて総会を開く予定にしております。我々日本は これまでに様々な経験をしてまいりました、その過程において、もちろん失敗も沢山してまいりました。途上国に対して我々と同じ間違いをおかしていただきたくない、そんな思いで日々活動をしております。先日の京都議定書発効レセプションでケニアの環境副大臣でありノーベル平和賞受賞者でもあるワンガリ・マータイ女史とも中国やネパールの植林について意見交換をしてまいりましたが、彼女が日本にきて覚えた「もったいない」は国連本部にて開催された「女性の地位向上委員会」において資源活用を訴える「もったいない運動」と称し提唱され、全世界へ資源の有効活用をアピールする良い機会となりました。
 この様に本日この会議が、高校生や次世代の日本、そして世界をしょってたつ若者たちに浸透できる会議である事を私は期待しております。この会議から環境への社会的意識向上がなされ、本日会場に来ていただいた方、そしてこの会議を報道などで知った方が少しでも環境に興味を持ち、環境立国である我が国、日本を支える力になることを期待しております。ありがとうございました。