第3回世界水フォーラム滋賀デイ 開会挨拶
第3回世界水フォーラム運営委員会
会長 橋本龍太郎
滋賀県主催レセプションにて 第3回世界水フォーラム滋賀委員会
国松会長と
歓迎レセプションにて挨拶をする

 皆さん、おはようございます。本日ここに、高円宮妃殿下のご臨席を賜り、また、世界水会議ルネクーロン副会長、國松滋賀県知事、ゴルバチョフ元ソ連邦大統領他多くの関係者の皆様のご参加の元、滋賀デイの開会を宣言できますことを大変光栄に思います。

 会議の開催に当たり、並々ならぬご尽力を頂きました滋賀県委員会事務局、市民、NGO、経済界他関係者の皆様、とりわけ会議の円滑な進行に欠かせない語学ボランティアの皆様に心より感謝を申し上げます。

 また、二日間にわたる滋賀デイに御出席いただいた参加者の皆様に心から歓迎の意を表します。

 いよいよ滋賀での水の議論が幕を開けます。今回、滋賀で開催される主要テーマは、統合的流域及び水資源管理、水と平和、世界子ども水フォーラム、「水と食と農」大臣会議であり、母なる琵琶湖をこよなく愛される滋賀にふさわしく、世界の水問題を解決する上で、どれもが興味深く、かつ、重要な内容を含んだものばかりであります。

 水フォーラムの会場を選定するに際しては、水源から海へ、そして沿岸域までを含む地域全体を一体として捉えることの重要さに思いを至し、流域全体をフォーラム会場としたいと考えました。そして、その最もシンボリックな場所として滋賀、京都、大阪の琵琶湖・淀川流域を取り上げた次第です。

 この流域を考えるとき、多くの日本人にとって、まず最初に頭に浮かぶのは、母なる琵琶湖、世界でも有数の古代湖である琵琶湖であります。
四百万年の間に様々の命を育ててきた琵琶湖は、古くから「近江八景」として親しまれ、安藤広重の浮世絵によって広く世界に知られるまでになりました。その湖が、わずか四十年ばかりの間に、京都、大阪、神戸を含む近畿一千四百万人の生活と産業を支える役割を担うことになりました。このため、我々人間の活動の影響により、急激な水質悪化と生物多様性の減少に直面し、千九百七十年代に最悪の状態に陥りました。その後、有リン合成洗剤の使用を禁止する琵琶湖富栄養化防止条例の制定など多くの先進的な行動により、改善の方向に向かいましたが、今なお、例えば、外来魚種により在来種の存在が脅かされ、琵琶湖の漁獲量が減少するなど、必ずしも、その水環境が完全に回復するまでには至っておりません。

 琵琶湖での経験は、開発と発展という中から環境への負荷を増大させた課題と、その回復へ向けた多くの行動の結果を我々に提示しており、反省も含め多くの知見を参加者の皆様に提供できるものと考えております。例えば、上流と下流が一体になって水環境の改善に取り組む琵琶湖・淀川水質保全機構の動きなどもその一例と申せましょう。

 琵琶湖をこよなく愛するがゆえ、失敗に謙虚に学び、そして、新たな進路を切り開いていく、滋賀の皆様のスピリッツを直接肌に感じていただき、滋賀での二日間が、そして参加者の皆様の熱意が、水問題解決に向けた行動の歩みを一歩でも二歩でも進めることとなることを祈念し、開会の挨拶とさせていただきます。