身体障害者補助犬使用者・交流会
東京都港区立三田福祉会館にて
平成14年7月20日
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 本日は、お招きいただきながら、出席できず、大変残念です。
 はやいもので、身体障害者補助犬法が成立して、二ヶ月経ちます。成立した際にもお伝えしましたように、法案が成立したから終わりではなく、これからが始まりなのです。そういう意味では、今回こうして、盲導犬、聴導犬、介助犬の使用者の方々が同じ場所に集まり、お互いを理解するために交流し情報交換する機会がもてましたことを、大変嬉しく思います。
 身体障害者補助犬は、名前の通り、身体障害者を補助する犬であり、私は、あえて補助犬を、障害者の方々の自立支援のための新たな「生きた自助具」として捉えたいと思います。もちろん、わんちゃんは可愛いし、一緒にいると心が癒やされることも事実です。先日も、ある方が、ご自分の補助犬と一緒に私の事務所に来られましたが、ご主人の横で、ちょこんと座り、時折、私に微笑みかけるような仕草をするのには、正直参ってしまいました。ただし、それは、私たちが超党派で議員立法としてこの法律をつくらせていただいた理由ではありません。この法律は、福祉政策の一環として補助犬の育成体制を整備し、円滑な利用を図ることにより、障害者の方々の自立と社会参加を保障するためにあります。政治家であった私の父は、幼い頃に、結核性の腰椎カリエスに罹り、長い闘病生活を経て、松葉杖がなければ歩けない身体になりました。肢体不自由であった父は、生前私に、障害者にとって、ハンディキャップはハンディキャップと認めたうえで、公平な競争のチャンスを与えられることがいかに大切なことか、そして障害者自らがそれに挑戦する勇気が持てるように周りの人達が支え、励ましていくことがどれほど大切なことか、ということを熱い口調で何度も語ったものです。障害者の身体の一部として、一人の障害者の生活を支える補助犬のことを知っていれば、彼自身の行動も変わっていたことでしょう。

 補助犬と生活することで、障害者の方々にとってのバリアや負担が増えるようなことがあっては、意味がありません。本日は、どうぞみなさんで、色々のご意見やお話をお互いにされ、どんな補助犬を必要とされているのか、また、どんな問題があるのか、大いに話し合って下さい。その結果を大切な参考資料とし、身体障害者補助犬を推進する議員の会・会長として、「身体障害者補助犬法」が使用者の方々にとって、より役に立つ運用がされるように活動を続けていき、問題が生じた時には、法律を見直すことも含めて、今後も身体障害者補助犬を見守り続けることをお約束させていただきます。

 最後に、実り多き会になりますよう期待いたしますとともに、準備運営に当たってくださっている全ての皆様に心からの感謝の意を表し、ご挨拶とさせていただきます。

平成14年7月20日
身体障害者補助犬法を推進する議員の会・会長
衆議院議員 橋本龍太郎  (代読)