橋本内閣総理大臣外交最高顧問のアフリカ訪問
(概要と成果)

1999年1月21日


1.概要

橋本龍太郎内閣総理大臣外交最高顧問は、1月11日から13日にかけてケニアを、13日から16日まで南アフリカを訪問した。ケニアのモイ大統領等、南アフリカのムベキ副大統領等の政府要人と会談を行い、また、南アフリカで、我が国の対アフリカ政策に関する政策スピーチを行った。今次訪問に併せて、昨年4月のムベキ副大統領の訪問の際に橋本総理(当時)との合意の下に両国政府間の政策対話の場として設けられた「日・南ア・パートナーシップ・フォーラム」の実務者協議が開催された。また、橋本顧問は両国において、ジョモ・ケニアッタ農工大学(ケニア)や元黒人地域内の給水案件(南ア)等、医療、教育、女性の社会参画に関する我が国の経済協力プロジェクトを視察された他、両国要人との会見においては、我が国の第二次大戦後の国造りに関する経験(成功例及び失敗例)、経済協力のあり方などについて率直且つ建設的に意見交換を行った。



2.成果

(1) ニ国間関係の強化

(イ) 前総理で内閣総理大臣外交最高顧問という我が国政治指導者の初のアフリカ訪問により、我が国のアフリカ重視の姿勢を効果的に示すことが出来た。特に、ケニア・南アフリカ両国要人との会見の際、政策通としてアフリカ諸国でも知られる橋本顧問の国内改革・第二次大戦の敗戦からの国造りに関する経験やアジア情勢に関する話は、両国指導者に強い印象と感銘を与えた(閣僚が橋本顧問の発言を熱心にメモする場面もあった)。我が国のアフリカに対する取り組みが本物であるとの思いを強く抱かせることが出来た。

(ロ) 南アフリカにおいては、「日・南ア・パートナーシップ・フォーラム」の実務者会議を開催、冷戦後のアフリカと21世紀の世界を念頭において、我が国が初めてアフリカの国との戦略的パートナーシップを構築することに向けて具体的に焦点をあてた意見交換を行った。また、特に橋本顧問とムベキ副大統領とは、この一年の間に3回目の会議であったこともあり、自然に互いにファーストネームで呼び合い、率直な意見を述べ合うとの個人的な関係が深まったことも、今後の日本・アフリカ関係にとり重要。



(2) 我が国の対アフリカ積極姿勢をアピール

(イ) 橋本顧問は、15日に南アフリカ国際問題研究所と在南アフリカ大使との共催による講演会において「21世紀に向けたアフリカと日本のパートナーシップ」と題する政策スピーチを行った。同後援会には、南アフリカの政財界のリーダーが出席し、TVカメラの前で行われた。橋本顧問のアフリカに対する個人的な経験と思いにはじまり、アフリカの「新しい潮流」に対する評価、アフリカ再生に向けての粘り強い取り組みの必要性、発展に向けての我が国の成功例と失敗例の紹介、TICAD U とそのフロアーアップの強化に及んだ。出席した南アフリカの知識人から口々に「非常に示唆に富む、橋本顧問、日本政府のアフリカに対するまじめな取り組みが感じられる講演」との評価が聞かれた。

(ロ) 橋本顧問は、両国要人との会談や政策スピーチを通じ、TICAD Uの成功と、その最大の成果といもいえる「自己責任と対等な関係」に基づくアフリカとそれ以外の諸国の国際協力をあらためて訴えるとともに、TICAD Uの具体的フォローアップの重要性を呼びかけた。

(資料:外務省提供)