訪米を終えて
1999年10月18日
 10月11日、日本を出発、ボストンとニューヨークを回って16日帰国しました。 今回の旅行は、ハーヴァード大学総長の招請を受け、講演をするのが第一目標でしたが、得るものの多い旅だったと思います。

ボストンにて/撮影: 橋本 龍太郎

 
 ボストンでは、ボストン美術館の所蔵する未公開の日本美術品に触れる事も出来ました。ハーヴァードにおいても、ナイ・レポートで日本でも知られているジョセフ・ナイ教授の主催による教授クラスの方々とのワーキング・ランチ、日本語を学ぶ学生、大学院生との意見交換等大変有益なプログラムでした。

 本来の目標であった講演も、会場がパンクするほど多くの聴衆が集まって下さり、質疑応答も活発で楽しいものでした。

  ルーデンスタイン・ハーヴァード学長、ジョセフ・ナイ・ケネデイスクール学長、ベルファー・センターのグラハム・アリソン教授、ゴードン・ライシャワー研究所長などの高名、かつ米国の政策決定に関係の深い方々と本音の議論が出来た事を本当に幸せに感じております。

 講演内容は別に報告をいたしますが、ハーヴァード大学の中で、私の手がけた様々な改革が研究の対象となり、その方向が正しいと評価されている事を知ったのも感動した事の一つです。  旧知の小沢征爾さんに、久しぶりにゆっくり御目にかかれたのも楽しい思いでとなりました。 ニューヨークで、ニューヨーク証券取引所を訪問したのも良い勉強になりました。

 ニューヨーク証券取引所は現在取引所自体の株の上場に向けて動いています。ここでもグラッソ取引所長との間で忌憚のない意見交換が出来た事を喜んでおります。場内を見学する中で、トヨタ株売買のブースの元気の良さも日本の底力を見る思いでした。

  ペルーのツデラ国連大使にもお会いできました。ツデラ大使は、ペルーの日本大使公邸人質事件で最後まで人質になっておられ、救出の際、負傷された方です。剣道を学びたいと言われ、練習場所として、慶應ニューヨーク高校の剣道部をご紹介して来ました。

  この、剣道も、今回のボストン、ニューヨーク訪問の目的の一つ、ボストンではハーヴァード大学剣道部の諸君、ニューヨークでは慶應ニューヨーク高校剣道部の諸君と、気持ちの良い稽古をする事が出来ました。とても爽やかな稽古を楽しませてもらいましたが、ハーヴァード大剣道部の諸君が、口々に「剣道は単なる格闘技ではない、剣道を学ぶ事、それは日本のカルチャーを学ぶ事だ」と言いきっていた事に、深い感銘を覚えました。

 日本人自身、それほどの思いを持って剣道を修行しているだろうか?わが身を振りかえって一寸恥ずかしい思いも味わった今度の旅の想い出です。 


ニューヨークセントラルパークにて/撮影: 橋本 龍太郎