本日から、アメリカ戦略国際問題研究所(CSIS)が企画し、私も賛成していた日、米、EUの三極有
識者によって構成される新しいプロジェクト『世界の高齢化に向けてのイニシアチブ(GAI)』の実 質的な議論が、東京で始まりました。
正式な第一回会合は来年1月25,26日、ワシン トンで開催、二度目はヨーロッパで来年の秋、第三
回は再来年日本で開催する事が合意されました。
アメリカは、モンデール元副大統領(駐日大使)が議長を務められ、ヨーロッパはオットー・ペール元
ドイツ連邦銀行総裁、日本を代表して私が共同議長で運営します。
高齢・少子社会えの対応と言うテーマは、私が長年追い続けて来たテーマです。総理時代、リヨン・サ
ミットで「世界福祉構想」を提唱したのも、高齢化の進展に伴って増大する社会保障負担を如何する か、どのような仕組みがもっとも効率良く国民の求めに応じる事が出来るのか、先進国の経験と知識を持ち寄る事からスタートしたいと言う願いからで
した。
その時、途上国にノウハウを移転する事の大 切さも議論され、それを受けて、日本は沖縄県で「東
アジア福祉担当閣僚会議」を主催、あらゆるデータ を各国に伝えた事もあります。
今回の議論は問題を大きく捉え、
パネル1:では、高齢化に伴い年金、医療、福祉のコストの増大が財政を圧迫する原因と成っている事から、長寿、出生率、予算との相互関係を検証しては如何?
パネル2:では、高齢化と資本コスト。つまり、急速な年金、医療、福祉コストの上昇が債務負
担を深刻なものにしている。日本におけるリスク・ プレミアムの問題も大切。急速に高齢化の進む国は、 今後迅速に増税や給付削減が出来るだろうか。先進国における債務拡大は国際的影響に結びついてくると考えなければなりません。
パネル3:では、高齢化とビジネスへの影響を論じます。
パネル4:では、国家安全保障と社会保障、社会保障給付が国防費を圧迫する、このテーマは従来あまり議論されていませんが、一度シッカリした議論をしておくべきテーマです。先進国と途上国と言う視点からも大事な課題の一つです。
パネル5:は、グローバリゼーション:問題か?解決法か?と言う問いかけがなされます。
日本を巡ってのラウンドテーブルで議題になりそ うなのは、金融システム改革、増加する債務、退職者の財政、年金、医療、福祉コストの増大、女性の経済的地位、高齢者の有権者としての発言力増大、
完全雇用政策、防衛費等が考えられるところです。
国民皆保険、皆年金の日本とそうではないアメリカ。 公共福祉サービスの分野で、これから介護保健をス
タートさせようとしている日本は、この分野ではまだまだ欧米から学ぶ物が少なく有りません。
世代間同居志向の尚強い日本と、世代間同居のほうが珍し い欧米。様々な違いはありますが、日、米、欧の中
で、ひとつのテーブルについて、こうした問題を論議し、将来へのより明るい展望を模索しようと言う 会合は初めて。
アメリカの戦略国際問題研究所がこうした企画の為に、国際社会の必要な人材として、私に共同議長の座を提供してくれた事を光栄に思いながら、最終取りまとめの責任を追わなければ成らない日本の最終会合の議長、今から少々頭の痛くなりそうな予感とともに痛感しております。
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