ナイジェリア、ガーナ、そしてNATO本部を訪れて感じた事
1999年6月7日

  この度、ナイジェリア、ガーナを回り、ベルギーのブラッセルに有るNATOの本部を訪問し帰国しました。

 ナイジェリアは独立いらい39年のうち29年が軍事独裁政権、今回久しぶりに民主的な選挙で大統領が選ばれ、その就任式に特派大使として参列する事、ガーナは旧知のローリングス大統領夫妻と旧交を温める事が目的でしたが、それ以上に私にとって大切だったのは、野口英世記念医学研究所を訪問する事でした。私は内閣総理大臣時代、国際寄生虫対策を打ち出し、その拠点研究機関としてわが国の偉大な先覚者である野口英世博士を記念して作られた野口研を使いたかったからです。

 ガーナ政府も大変喜んでくれ、野口研も張り切って基幹研究機関の役割を担ってくれる事になりました。

 NATOでは旧知のソラナ事務総長と会い、コソボ問題での日本の役割について真剣な議論をして来ましたが、ただ御金を負担するのではなく、対ロシア、対中国など日本が本当の外交的役割を果たして呉れる事を本気で求めている事を痛切に感じました。

 私から主張した事は、ヨーロッパの出来事もアジアに無縁ではない事、例えば朝鮮半島情勢、インド・パキスタン間のカシミールを巡る紛争の激化、東チモールにおける住民投票の懸念等、世界の眼がコソボに集中している間にも様々な問題が動いている、アジアの我々もコソボ問題で応分の役割を果たすが、EUもアジアの問題にもっと関心を示してもらいたいと言う事に尽きます

 停戦が実現しても、本当の平和がバルカン半島に定着するのは何時の事か?その中で果たすべき日本の役割とは?色々考えさせられる旅でした。

 ガーナのローリングス大統領が、『世界の眼は、今コソボに集中している。しかし難民を受け入れ、貧しい中でも歯を食いしばって生きているガーナのような国も有る事を欧米諸国も思い出して欲しい。』と語った言葉の重みを今、噛み締めております。