「国際薬物統制サミット」
2000年2月17日

 2月7日から9日にかけて、政府の緊急の要請を受け、ワシントンで開かれた、国連薬物統制計画とアメリカ議会下院との共催による「国際薬物統制サミット」に参加して来ました。初めて日本はこの会議に正式代表を送ったのですが、本当に参加して良かったとの思いを深くしております。

 現在日本は覚醒剤の乱用が中学生にまで広がり、関係者は全力を挙げて麻薬・覚醒剤の取締まりに努めている最中です。

 昨年一年で取締まり当局が押収した覚醒剤の量は2トンを超えますが、それでも海外から持ち込まれる一部しか捕捉できていないと思われる状況は、考えれば考えるほど恐ろしくなります。先日、島根県の漁港に入港した小型船から押収された覚醒剤の量は250キログラムでした。

 ハスタード米下院議長を始め、多くのアメリカ下院議員、欧州議会議員も多数参加し、この問題が先進国共通の大きな悩み、課題となっていることを改めて痛感しました。

 総会で行った基調演説は別に報告しますが、ヘロイン、コカインが中心となる欧米と、覚醒剤が対象の多くを占める日本とは、同じ麻薬・覚醒剤対策と言っても色々な点で違いのあることも考えなければなりません。

 この機会に、アメリカ司法省、国防総省などこの問題に取り組むアメリカの専門家達と、日本の警察庁、厚生省麻薬課など専門家同士の情報交換が軌道に乗ったことも、成果となったと思います。私自身同席し、昨年末訪問したミャンマーの状況、コロンビアとの捜査協力のスタートなど自分で手がけた中身を報告しつつ、ラテンアメリカ・カリブ諸国の現状の説明を聞けたなど、本当に勉強になりました。

 ロス上院議員、トーマス上院議員や、アメリカ主要新聞社の記者たちとの意見交換も楽しいものになりました。

 ロバート・ダガー、リチャード・メドレイ、トッド・ブッチホルツ等錚々たる金融関係者との議論も予想以上に突っ込んだ話が出来ました。しかし彼らとの議論の中にも、犯罪組織が麻薬・覚醒剤で稼いだ資金を、正常な資金に見せかける、いわゆるマネー・ロンダリングが話題となるなど、厳しい状況にある麻薬・覚醒剤問題に終始した今回の旅行の報告です。