「マカオ返還式に出席して」
1999年12月22日

 1999年12月19日の深夜から20日未明にかけて、アジアに最後まで残ったヨーロッパの殖民地であったマカオが、ポルトガルから中国に返還され、記念式典が開かれました。

 ポルトガル人がマカオに拠点を設けたのは16世紀半ば、ちょうどわが国の種子島にポルトガル人が火縄銃と火薬をもたらしたのとほぼ同じ時期のことです。 中国側から個人としてこの式典にご招待を受けたのですが、結局日本政府代表として参列することになりました。

 午後11時59分、ポルトガル国歌の吹奏とともにポルトガル国旗が降ろされ、12時ピタリ、中国国歌とともに中国国旗が掲揚される、一つの歴史の終わりと始まりを見ている思いでした。

 珠栄河口に位置するマカオは、イギリスの植民地だった香港との競争の中で次第に衰退し、今では観光とカジノ産業で生きている、ちょうど新宿区くらいの大きさの都市です。一国二制度を認められているのは香港の場合と同じ。しかい前途はなかなか大変でしょう。既にカジノの支配権を巡って、抗争事件も相次いでいるようです。

 この機会に江沢民主席をはじめ、中国首脳と会見、友情を確認できたことは望外の幸せでした。最後の香港総督であったパッテンEU委員、アセアン各国の外務大臣など多くの旧友に逢えたのも幸いでした。

 特に今まで日本に対し非常に厳しい姿勢を取り続けていた中国の遅浩田国防部長が「おお老朋友!」と如何にも懐かしそうに呼びかけてくれたことは嬉しいことでした。