「内親王さまご誕生をお祝い申し上げ、
合わせて香港訪問での各国の声を報告します」
 

  内親王さまご誕生、心よりお祝い申し上げます。母子ともにお健やかとの事、何よりおめでとうございます。


  香港でのPECC総会より帰国してまもなくご入院のニュースを拝見し、ご安産をお祈りいたしておりました。ご出産のニュースは羽田空港に到着した時、待ち構えていた記者団から知らされましたが、その時「皇室典範をどうしますか?」と言う質問を受けました。
  「お誕生の日にする質問ではないよ」と答えましたが、本当にその時、そう思いました。
  歴史的にも女性の天皇がおられた日本、今後女性の天皇をいただくことに何ら不思議はありませんが、皇室典範の改正問題は慎重に論議すべきことであり、軽々しく取り扱うことではないと思います。
  香港での本会議でも、この機会をとらえて行った幾つかの個別会談でも「おめでたはまだか?」とか「何時が予定日なのか?」とか各国から聞かれました。皆が祝福している感じが伝わり、嬉しい思いでした。
  会合での私のスピーチは別に掲載させていただきますが、9月11日のテロ以来の深刻な空気が反映した会合だったと思います。その中でアジア・太平洋地域の将来に如何にして明るさを見出そうかと語り合う会議でもありました。
  関心事項の大きな一つが小泉首相の改革が上手く行くのか?という事だったのは予想通りで、「私自身が構造改革をしようとしたんだから当然協力する」と返事をすると「日本のマスコミはそう報道していない」と言われるのには往生しました。
  「部分的に意見の違いは当然有るが、全体を見てほしい」と答えましたが、各論での議論、異なった手法を議論することは許されない事なのか、考えさせられる問題です。
  香港は中国返還後、4年半を経過し、落ち着いている印象を受けました。中国政府が非常にうまく一国二制度を運用し、香港当局もその中で香港の特色を最大限発揮しているという事でしょう。
  中国のWTO加盟が決定し、私が総理の時に物の分野で最初に中国と交渉を纏めたこともあり、本当に良かったと祝福を贈って来ました。今後、中国にとって、知的所有権の分野など、国内的にはこれからが大変だと思う分野、課題もありますが、世界経済の上からも、大切な一歩だと思います。
  その中国とアセアンの国々が自由貿易協定を結ぶという話題が大きな関心を集めています。今後どんなプロセスになるのか不明ですが、日本としても当然関心を持たざるをえません。日本は今、シンガポールとの間に自由貿易協定を結ぶための話し合いを続けていますが、世界の流れがこうした地域での協力関係に片寄りつつあることを忘れるわけには行きません。アメリカでの9月11日のテロ以来、世界が質量ともに動いていることを再び考えさせられる今回の香港訪問でした。