外遊報告
スイス・トルコ・フランス
2001年2月4日

 新世紀を迎えた1月22日から27日、スイス、トルコ、フランスを駆け足で回ってきた報告をさせていただきます。

 昨年1月、ワシントンで開催された高齢社会についての経験と対策を話し合う、日米欧三極のシンポジューム、第2回政策会合がスイスのチューリッヒで開かれ、これに出席する事が第一の目的でした。

 この会合は、先進国を中心とした人口高齢化が、金融、健康、経済成長、さらには安全保障といった分野でどのような影響を与えるのかについて、日米欧各国の専門家で研究し、提言する事を目的としており、今回私に与えられたテーマは「日本はいかに退職ブームに備えるのか」で、このテーマで基調講演を行いました。私のスピーチそのものは、別に報告します。人口高齢化が与える影響について各国の専門家同士で議論することが大変重要であることは、昨年のワシントンでも痛感しましたが、今回の議論も非常に意義深いものでした。

 ワシントンではモンデール前駐日大使が議長を務められ、今回は東西ドイツ統合のころ、ドイツ連銀の総裁であった旧友のペールさんが議長を務められました。締めくくりの会合は今年8月、東京で開催、私が議長を勤めることになります。

 やはりこの会議に出席しておられたイタリアのディニ外務大臣と、G8サミット(ジェノバ)やアジア情勢など有益な意見交換ができたことも幸いでした。

 トルコは伝統的に非常に親日的な国です。イスラム教の国ですが、政教分離がしっかり行われており、NATOの一員として、中東と欧州の接点という戦略的位置にある国として国際社会で大きな役割をはたしています。

 私は総理在任中、ユーラシア外交を提唱しましたが、トルコとの政治対話の重要性は当時から認識していたところです。

 エジェビット首相とは、2国間関係、ロシア、中央アジア・コーカサス情勢を中心に幅広い分野で意見交換が出来ました。

 デミレル前大統領との間でも、中東和平問題、シルクロード地域の重要性など率直な意見交換が出来ました。

 マスコミとの対談や現地国際問題研究者との議論を通じて、彼らの日本に寄せる期待の大きさを知らされた後、現代トルコ建国の父として今も国民の崇敬するケマル・アタチュルク廟への献花をしながら、これから先、この親日国トルコとの間に、どんな交流を組み立てるべきか、本当に考えさせられました。どれだけの日本人が、トルコにこれだけの知識と友情を感じているでしょうか?

 乗り継ぎを利用して数時間立ち寄ったフランスでは、シラク大統領がわざわざエリゼ宮殿に招いてくださり、長い友情の中、本当に中身の濃い会談が出来ました。

 二国間関係、特に二人で始めた対アフリカ援助における日仏協力の推進、その他対米関係など国際情勢についての意見交換や文化交流と話題は尽きませんでしたが、その結果、飛行機に間に合わなくなりそうになり、白バイに先導してもらってようやく成田便に飛び乗りをするというスリル満点な事件が、この旅行の締めくくりとなりました。