国際寄生虫対策ワークショップ
タイ王国・バンコクにて
 ニューヨークから帰国、中一日置いてバンコックに。タイ、マヒドン大学で続いている"橋本イニシアティブ"、第1フェーズが終わり、これからいよいよ第2フェーズに入るための基調講演をしに久しぶりに大学を訪問しました。
 正式には「国際寄生虫対策ワークショップ2004」と名付けられたこの会合は、デンバーサミットにおいて私がG8 に提起し、その後タイ、ケニヤ、ガーナを拠点として寄生虫対策プロジェクトとして実施されてきました。5年目を迎える今年、第2フェーズにおいてタイは完全イコールのパートナーとして対等の協力者になります。
 
 旧知のポンチャイ・マヒドン大学学長たちとともにガラヤニ王女殿下に拝謁しましたが、そのご下問の鋭いのに驚きました。現国王陛下のお姉さまでもうすでに80歳と伺っていますがお答えするのに悪戦苦闘でした。
 私はこのプロジェクトに関連してマヒドン大学より"熱帯臨床医学"に関する名誉博士号を頂戴しています。
久しぶりに専門家を前に、専門性のある講演をさせていただき緊張しました。まあ、何とかたいした失敗はせずにすんだようです。
 このところ、タイも鶏インフルエンザを始め中々大変な様子、私が福岡経由でチェジュ島に出発する2時間くらい前に南部のマレーシアとの国境近くの観光地で自転車爆弾によるテロが発生、一時は大使館の皆さんが情報を求めて大騒動でした。
 聞いたところ、本年1月4日、軍の武器庫に何者かが侵入、300丁のライフルを盗み出されたのが皮切りで、その後南部地域がまったく安定せず、旧友のチャワリット副首相も治安に責任を持つ立場から週のうち半分はバンコックを離れているようです。
 夜中、バンコック発、明け方福岡国際空港に。ホテルでシャワーを浴び、着替え、そのままチェジュに。
 チェジュはUNEP第8回管理理事会特別会合、グローバル閣僚級フォーラムに、昨年日本で開き、多くの皆様にご協力いただいた第3回世界水フォーラム運営委員会会長として、GLOBE Japan会長として招かれました。
 アナン国連事務総長が今回、国連の中に"水と衛生に関する諮問会議"を設立する構想を発表され、私が議長のご指名を受けました。このようなことを報告し役割は終わりました。

 ご承知のように今、韓国は大統領の地位が大変な政治問題になっています。その中で高建韓国大統領権限代行と落ち着いて会談することが出来ました。
 ちょっと引っ掛かったところは次の一言、「過去の歴史問題により両国の国民の感情が損なわれないよう、両国の政治指導者が努力しなければならない」、このフレーズが国務総理室から公表されたことです。これにたいし、私は「前の世代の責任を若い人々に持ち込まれないように、なおさらのこと孫の世代まで持ち込まれないようにしなければならない」と言いましたが本当にそう思います。
橋本イニシアチブとは
 総理時代の1997年アメリカ・デンバーサミットで感染症の一部である寄生虫対策への国際的な取組について、日本の寄生虫対策の成果を発展途上国の予防対策に役立てたいと提唱した。翌年の1998年のバーミンガムサミットで再度国際寄生虫対策の重要性を説き、サミットのコミュニケに「感染症及び寄生虫症に関する相互協力を強化し、これからの分野における世界保健機構(WHO)の努力を支援すること。…」と示された。


 アジアとアフリカに人造りと研究開発のための拠点をつくり、寄生虫対策の人材養成と情報交換等を向上させていく、「橋本イニシアチブ」を提案。その結果、アジアのセンターとしてマヒドン大学熱帯医学部に「国際寄生虫対策アジアセンター」が創設。2001年9月にはタイ、ミャンマー、ヴェトナム及びケニアからの研修生が参加をし国際寄生虫対策アジアセンター国際研修開講式が行われた。