イラク復興支援のための日仏独3カ国協力
のその後




 昨年12月、急な総理のご要請を受けて、イラク復興支援の話し合いのため英、仏、独、3カ国を回りました。シラク大統領も、シュレーダー首相も私の訪問をとても喜んで迎えてくださり、日仏、日独だけでなく、日仏独3ヶ国の共同事業としてイラク復興事業に取り組むという合意が成立、私も幸せな気持ちで帰国することが出来ました。
 この度、その折も同行してくれた岡本総理補佐官が、そのときの話を受けて詳細を話し合うために再度訪欧し、協力の中身を整理して帰国しました。
 まずドイツとは私と話し合ったとおり、日独で警察分野の協力をスタートさせる。すでにドイツがア首連で警察官養成支援(3月初めには開始の予定)の計画を持っているのでこれとドッキングする予定。
 フランスも、国家警察隊という自国の組織と似たような仕組みつくりを考えているが、具体的実施はイラク人に統治権が移譲された後になる。今回の日独協力にフランスが直ちに関与することは難しい。
 フランスとは、イラク国立博物館修復(日本は機材供与、研修、施設整備からなるユネスコ経由でのラボラトリー再建支援プロジェクトを実施中)、その他博物館、図書館、文化遺産(遺跡修復保存を含む)、劇場等修復など、文化の面で協力を組み立てます。ドイツも文化分野での協力の可能性についての検討を開始しました。フランスは文化財保存・修復の専門家研修受け入れに積極的に取り組もうとしております。
 当初私がまったく考えなかった協力で、日仏協力の話が進んでいるのがアテネオリンピックに向けた協力で、日本は強化種目の関連機材を供与、フランスはその分野の選手を受け入れ指導するというものです。平和の祭典であるオリンピックに参加するイラクの選手養成に日仏が協力するなんて"夢"があります。
 その他にも日独、日仏、日独仏の協力が出来る、現に検討されている分野もずいぶん広がりました。医療、水、エネルギー、保健衛生など、それぞれの分野の要員の研修だけでも多くの分野で協力ができます。
 アメリカの反応を心配してくださった方もおられました。幸いアメリカ政府はイラク復興支援に向けての国際協調実現のための大きな貢献だと評価してくれているようです。
 昨夜、日本を訪問中のアーミテージ国務副長官に会いましたが、顔をあわせるなり「仏独との協力でのイラク復興支援、ここまで動かしてくれて有難う。」とお礼を言われ、ちょっと嬉しい思いでした。彼はアメリカ政府の中での知日派の一人、古い友人ですが、今まであまりお礼を言われた覚えがありません。


    
イラク問題総理特使
英・仏・独訪問の経緯
平成15年12月14日〜18日

【政府として】

 日本政府はイラクの復興支援に向けた国際協調体制を再構築し、自衛隊派遣や最大50億ドルまでの資金援助を含む我が国のイラク復興支援策に対する理解を得るべく、総理特使を派遣した。

橋本特使

英国
 ストロー外相と会談をし、日本の自衛隊派遣決定に関し、これまでの協力に感謝し、今後の更なる協力を要請。ストロー外相からは派遣を歓迎し、部隊の安全確保について日本側と緊密に連携していく表明をした。


ストロー外務大臣と合同記者会見
フランス
 シラク大統領と会談をし、国際社会が強調してイラク問題に取り組むことの必要性を強調。また可能な範囲内で復興支援を動かすことの重要性を指摘し、 日・仏間でイラク復興の為の協力が可能と考える旨問題提起、可能性のある分野として水・文化分野に言及。シラク大統領より日・仏協力に関する日本側からの如何なる提案も検討する用意がある旨述べ、さらに日・仏・独による協力という枠組みもあり得る旨示唆した。 今後、岡本総理補佐官、グルド・モンターニュ大統領顧問の間で検討を進める事に合意をした。

シラク大統領に見送られながら
ドイツ
 シュレイダー首相と会談をし、日・独の二国間協力そしてシラク大統領より日・独・仏三ヵ国での協力の示唆があった旨紹介し、二国間では警察研修について、2004年1月頃、担当者間で打合せをする事で合意。また水、エネルギー、保健衛生等の分野でも岡本総理補佐官と首相府のカウンターパートとの間で検討を進めることで合意。


シュレイダー首相と