〜第三回世界水フォーラムを終えて〜
平成15年3月16日〜23日(京都・滋賀・大阪)


最終日の記者会見風景


ボツワナ共和国モハエ大統領と
京都国際会議場にて


パラオ共和国
レメンゲサウ大統領との会談


タジギスタン共和国
ラファモノフ大統領との会談


ネパール王国ギャワリ水資源大臣との会談
 3月16日から23日まで琵琶湖・淀川水系を中心に、"第3回世界水フォーラム"が開催されました。主会場は京都市、大阪市、大津市の3会場、182の国・地域から24,000人を超える人々が参加した大会議でした。ちょうど会議の最中にイラクに対するアメリカ、イギリスの戦闘がはじまり、その影響を心配しましたが、お陰で海外からも6,000人を越える参加者があり、主催者としては嬉しい限りでした。
 準備委員会発足当初から責任者を務め、本番においては運営委員会の委員長を務めた私にとって、事故もなく、無事このフォーラムが終了したことに、本当にホッとしております。
 水フォーラムそのものの細かい報告は、"第3回世界水フォーラム組織委員会"のホームページに掲載いたします。351の分科会、33の主要テーマ・5つの「地域の日」のすべてを報告する能力はとても私の手に余ります。
 国内運営委員会、世界水会議理事会の合同会議からスタートをきった14日、ちょうど奈良東大寺のお水取りを拝見することが出来、海外からの参加者に改めて日本の歴史の重みと水とのかかわりを感じてもらうことが出来たのも幸いでした。
 16日の開会式、オランダの皇太子、モロッコの皇太子、パラオの大統領、ボツワナの大統領が出席され、フランスのシラク大統領もビデオで参加されました。しかし、何と言っても圧巻は名誉総裁としてご臨席を賜った皇太子殿下が、ご自身研究された"京都と地方を結ぶ水の道"−古代・中世の琵琶湖・淀川水運を中心として−と言う講演をしてくださったことです。その素晴らしさは私では上手く表現できませんが、各国の参加者から、あの講演の翻訳はないのか?是非翻訳して欲しいといった要望が殺到したことでご理解賜りたいと思います。皇太子殿下、同妃両殿下がお揃いでご臨席くださったことだけでも本当に光栄なことでした。
 大阪ディにはラモス元フィリピン大統領、ナーン・アナン国連事務総長夫人も参加されました。滋賀ディには高円宮妃殿下のご臨席を賜り、ゴルバチョフ元ソ連邦大統領も参加してくださいました。そのほかにも、タジキスタンの大統領をはじめ多くの国から閣僚級の参加があり、何人ご参加いただいたか数え切れなくなりました。
 “水と平和”、“世界子供水フォーラム”、“水と都市”、“水と文化”夫々が素晴らしい内容のものになりましたのは、すべての方々の協力のお陰、心からお礼申し上げます。 8日間に渉る熱心な議論と、水問題を解決しようと言う参加者すべての熱意がこの成果を生み出してくれました。
 今回の水フォーラムを通じ、途上国が抱えている水問題の多くは,かつての日本が40年、50年前に経験したもの、これは先進国に共通する問題で,かつて失敗した経験、更にはその失敗から学んだものを伝えることが出来ず、世界各地で同じような失敗を今も尚繰り返していることを再認識させられました。今、水の世界においても情報の共有化が必要なのです。こうした反省の上に立ち、今回のフォーラムで「経験交流パートナーシップ」が関係者の間で合意されたことは嬉しいことでした。多くの方が参加してくださることを願っています。そして、水に関する基本理念を人類が共有することが重要だということを考えるようになりました。劣悪な水環境の中で、8秒に1人、子供の命が失われていることを見過ごすことは出来ません。このフォーラムが、今後もその影響を及ぼし続けるよう、私も先頭に立ってゆきたい、今そのような思いに駆られています。